節分の豆まき、「渡辺さんという苗字の人はする必要が無い」ということをご存知ですか?
それは昔、渡辺綱(わたなべのつな)という人物が鬼の片腕を取って退治したからと言われています。
この「渡辺綱の鬼伝説」、実は有名な陰陽師の安倍晴明も登場するので、ちょっと紹介しますね。
渡辺綱と一条戻り橋の鬼伝説
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渡辺綱の鬼伝説の舞台となったのは平安時代の中期。
大内裏(天皇の居城)のすぐ東北に位置する、一条戻り橋でのことでした。
渡辺綱は主人・源頼光の使いで一条大宮へ出かけた帰り道、一条戻り橋の上で若く美しい女性に声をかけられます。
女性は五条まで帰る途中なので、綱に「送って行ってほしい」と頼むのでした。
渡辺綱はそれを快く引き受け、女性を馬に乗せました。
しかしこの女性は、なんと鬼が変化したもの。
鬼は渡辺綱の髪をつかんで、愛宕山へ連れ去ろうとしました。
(愛宕山とは、京都市右京区と亀岡市にまたがる山)
綱はなんとか鬼の腕を「名刀・髭切」で切り落とし、難を逃れます。
・・こういうわけで、鬼は「渡辺」という苗字の人間を恐れ、
節分で豆をまかなくても渡辺さんの家に鬼はやってこない
と言われるようになりました。
「一条戻り橋の鬼伝説」には、安倍晴明も登場していた!
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一条戻り橋の鬼伝説はここまでが有名なのですが、実はその後、陰陽師の安倍晴明まで登場してきます。
安倍晴明は、渡辺綱の主人の頼光に呼び出され、綱の吉凶を占うことになりました。
晴明が占ったところ、
「鬼の腕を固く封印し、物忌みに入ること」
という結果が出て、物忌みに入る渡辺綱。
屋敷にこもって経を唱えますが、とうとう七日目に乳母に変装した鬼を家の中へ入れてしまい、腕を持ち帰られてしまう・・というのが結末です。
ちなみにこの物語はフィクションですが、渡辺綱・源頼光・安倍晴明は実在の人物です。
渡辺綱は、この他にも鬼退治をする物語の主人公になったり、上記の物語が書き換えられて歌舞伎のテーマになったりもしています。
「物忌み」はお騒がせ芸能人がしている「みそぎ」のルーツ!?
さて、晴明の忠告に従って渡辺綱が行った「物忌み」。
これは簡単に言うと「屋敷にこもって行動を慎み、災いが過ぎるのを待つ」ということ。
現代でも、芸能人がワイドショーなどで騒がれると「みそぎ」と言って自宅にこもり謹慎しますね。
それと同じようなものではないでしょうか?
ちなみに「物忌み」の時にすると良いと言われていたのが、読経と「管弦楽」。
読経は仏の加護を受けるために行いますが、「管弦楽」はその「陽」のパワーによって「陰」の塊である物の怪たちを退ける効果があると考えられていました。
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