饒速日(ニギハヤヒ)は、いま話題の「瀬織津姫の夫」という説のある神話の登場人物です。

ところが古事記や日本書紀の中には、そのような記述はありません。

ではニギハヤヒとは記紀の中でどのような神として描かれているのでしょうか?

簡単にまとめてみました!

「日本書紀」におけるニギハヤヒ

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ニギハヤヒが日本書紀に登場するのは、神武天皇の時代。

神武天皇は初めて天皇に即位した人物で、即位前は「神日本磐余彦尊(かむやまといわれひこのみこと)」と言いました。

神武天皇は、天孫降臨の地・高千穂から大和地方への東征を決意します。

その時、天から

「ニギハヤヒという人物が、天磐船(あめのいわふね)に乗って大和に降り立っている」

というお告げを受け取ります。

ニギハヤヒは大和の豪族・長髄彦(ナガスネヒコ)の妹をめとり、神武の東征に抵抗します。

ところがニギハヤヒと神武天皇が互いに神の子であることを知ると、ニギハヤヒはナガスネヒコを殺し神武を助けたのです。

「古事記」におけるニギハヤヒ

古事記では、ニギハヤヒはナガスネヒコが祀る神として登場します。

日本書紀と同様、ナガスネヒコの妹と結婚していて、ナガスネヒコが神武に倒された後に神武のもとに下ります。

ニギハヤヒは何故「瀬織津姫の夫」と言われるのか

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このように古事記・日本書紀では瀬織津姫と何の関係も無さそうなニギハヤヒ。

なぜそれが「瀬織津姫の夫」だと言われるようになったのでしょうか?

実はこの説を唱える際、

「ニギハヤヒは天照大御神の男神の姿」

であると考えられています。

アマテラスは男神だった?ニギハヤヒは「隠された男神としてのアマテラス」

いまは太陽の女神であると考えられている天照大御神は

「記紀の中で女神に書き換えられた」

という説があります。

女神に書き換えられる前のアマテラスの名前は

「アマテル クニテルヒコ アメノホアカリ クシタマ ニギハヤヒノミコト」

「ニギハヤヒ」という言葉が入っています。

瀬織津姫はその頃のアマテラスの夫婦神と言われていて、アマテラスが女神に書き換えられた際に一緒に存在を消されてしまったというのです。

☆☆☆

どの説が正しく、どの神が正しいのかは、今となっては誰も知ることは出来ません。

書き換えられる前の歴史も、おそらく誰かに書き換えられた歴史。

その前に書き換えられた歴史が無かったとは、言いきれないのです。

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