菊理媛(ククリヒメ)は、日本書紀のただ一か所にしか記述されない女神。

どのような立場の女神であるかについては、なんの説明もありません。

だからあまり重要な神では無いように感じてしまいますが・・

実は全国に多数存在する白山神社の祭神として、国産みの神「イザナギとイザナミ」に合祀されるほどの神なのです。

この記事ではそんな、謎につつまれたククリヒメの正体について考えてみました!

日本書紀で黄泉の国に現れるククリヒメ

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ククリヒメは古事記には出現せず、日本書紀にのみ現れる女神さまです。

しかもその登場シーンはひとつだけ。

亡くなったイザナミを追いかけてイザナギが黄泉の国へ行ったとき、夫婦ゲンカの末にイザナギが離婚を言い渡すと

「是の時に菊理媛神亦白す事有り。伊弉諾尊聞こしめて、誉めたまいて、乃ち散去ましぬ。」

(ククリヒメはイザナギに、何事かを囁いて褒めたたえた)

とあります。

ところが何を囁いたのかは、書かれていません。

そしてククリヒメが黄泉の国に住んでいるのか、どういう立場で登場しているのかも、何の説明も無いのです。

でもこの部分だけ考えてみると、ククリヒメは「黄泉の国の女神」とも考えられますよね。

一方、ホツマツタエに登場するククリヒメは、日本書紀とは対照的に・・

ところが謎の文書である「ホツマツタエ」に、もう一か所ククリヒメに関する記述を見つけることが出来ます。

それによると、

ククリヒメは豊受大神(伊勢神宮 外宮の祭神)に子が産まれた時に、その子を産湯につけた

とあります。

黄泉の国で登場する日本書紀の記述とは正反対に、今度は「誕生」のシーンで登場しているのです。

ということは「黄泉の国の女神」というわけでは無さそう。

どういうことなんでしょうか?

日本書紀とホツマツタエから分かること

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日本書紀では黄泉の国に。

ホツマツタエでは誕生の時に。

まるで正反対の場面で登場しているククリヒメ。

でも大きく捉えれば、これらの場面はひとつのカテゴリーに分類することが出来ます。

そのカテゴリーとは、「生と死、命に関わること」

つまりククリヒメは、

生と死、命を司る女神

だったのではないでしょうか。

ククリヒメを祀る「白山(はくさん)」は命を司る山

上記の考えは、ククリヒメが祀られている白山(はくさん)が

霊山であり水神(龍神)の住む山

と言われていることと整合しています。

神々が住む異界としての白山

生物の生命の源と言える「水」を湛えている白山

つまり白山はあらゆるものの命を司っているとも言えます。

ククリヒメがこの山の祭神であるということは、ククリヒメもまた「命」に関する女神だと考えることが自然だと感じるのです。

☆☆☆

ちなみにククリヒメが白山の祭神である由緒は異説があり、平安時代に白山で修行した泰澄(たいちょう)が「高句麗(こうくり)の姫の霊力を得た」ことから、祭神を

「こうくりのひめ → くくりひめ」

にしたとも言われています。

でもこの異説が正しいとすると上記の説は説得力が無くなりますね。。

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