遊郭で働く花魁のような遊女は、「身請け」をされることで遊郭から足を洗うことが出来ました。

しかし、その「身請け」とは、一体どのようなものだったのでしょうか?

また、身請けをする男性側に必要な条件とは?

この記事では「遊女と身請け」についての上記のような疑問についてまとめてみました。

花魁たち遊女を堅気の世界に戻してくれた「身請け」

花魁たち遊女は、もともと借金のかたに女郎屋へ年季奉公に出された女性たちでした。

だから彼女たちが自由になるためには、約束した年季が明けるのを待たなければならなかったのです。

ところが年季が明ける前に、自由になる方法が一つだけありました。

それが「身請け」です。

「身請け」とは、遊女の借金を肩代わりして、年季が明ける前にその遊女を買い戻すことを指します。

身請けをするのは、たいていが借金の肩代わりが出来るほどの裕福な馴染み客。

ところが稀に、遊女自身の親が借金を完済して引き受ける場合もありました。

その場合は「身請け」と区別して「親元受け」と呼ばれました。

男性が遊女を「身請け」をするために必要なこと

遊女の両親に了解をとる

まず身請けをするためには、遊女たちの親元へ承知の有無を確認しなければいけません。

親が承知した場合のみ、遊女たちは身請けされることが許されました。

身代金と借金返済用のお金を用意する

身請けが了承された場合は、身代金と借金を支払わなければなりません。

身代金は遊女の格によって違い、下は40両から高額な場合は1000両もの莫大な金が必要となる場合がありました。

またその他には、女郎屋や世話になった人々へ祝儀を出す必要があります。

このように費用が大変かかるので、普通の身分では身請けをするなど到底出来ないことでした。

「もう二度と遊女にさせない」という誓約をする

莫大な費用を払っていよいよ遊女は男性に身請けをされますが、その前に身請けする男性が誓わなければいけないことがありました。

それは、

身請けをした女性を、二度と遊女にはしない

という誓いです。

一度身請けをしたからには、日々の生活に困らせず、例え離縁になったとしても後の生活まで補償する必要がありました。

これらのことについて遊女屋と証文を交わし、ようやく遊女を身請けすることが出来たのです。

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これほどまでにお金と責任が必要な「身請け」だったので、やはりとんでもなく裕福な男性にしか身請けは不可能だったようです。

隠れて恋仲の男性がいた遊女でも、その男性に財力が無い場合は、年季が明けることをひたすら待つしかありませんでした。