アマテラス(天照大神)と言えば伊勢神宮に鎮座する太陽の女神です。

ところが鎌倉時代ごろに生まれた神話では、アマテラスは仏教の影響を受け欲望にまみれた「男神」として描かれています。

この記事では、そんな「男神として描かれるアマテラス」を紹介します。

(この記事は「日本のまつろわぬ神々(新人物往来社)」を参考にまとめています)

仏教の影響を受けた、国産みの神であり「男」でもあるアマテラス

Sponsored Link

古事記、日本書紀では「国産み」の神であるイザナギとイザナミから生まれたアマテラス。

ところが中世以降(鎌倉時代以降)に創作された神話では、アマテラスこそが国産みの神として描かれています。

そればかりでなく、この神話は「仏教」の影響を色濃く受け、そのうえアマテラスは「男」として描かれていました。

例えば、中世神話の中でのアマテラスは大日如来の化身

また煩悩を司る愛染明王の化身でもあります。

そしてその煩悩の化身であるアマテラスは、男神として欲望にまみれた姿も描かれているのです。

「蛇」と化して巫女のもとへ通うアマテラス

煩悩の化身のアマテラスは、仏教の三毒「貪欲・瞋恚・愚痴」にまみれた「蛇」へと姿を変えます。

蛇となって人間の代わりにこの三毒の苦しみを味わうことで、人間を救済しているのです。

この蛇となったアマテラスは、伊勢神宮の斎宮(最高位の巫女)の寝床に通ったりと、古事記・日本書紀のアマテラス像から大変かけ離れた伝説が創られました。

各地へ飛来したアマテラスのご神体の伝説

Sponsored Link

また室町時代以降では、「アマテラスのご神体が日本各地に飛来する」という伝説が生まれています。

最初にこの現象が起こったのは京都の吉田山。

ここに、光り輝く物体が降臨しました。

時の天皇が検分したところ、これは

アマテラスのご神体である鏡

と判断されたのだとか。

それ以降各地で飛来物が目撃され、飛来した場所は「神明」という名で呼ばれました。

私たちの身近にある「神明町」も、もしかしたらこの「飛来したアマテラスのご神体」が由来かもしれません。

「アマテラスのご神体が飛来する」という伝説については伊勢神宮は否定したものの、天皇自身の検分によるものなので大きなことは言えなかったそうです。