吉原の花魁たちは「ありんす」など独特な言葉を使ったことが有名ですが、なぜこのような話し方をするようになったのでしょうか?
それにはなんと、れっきとした理由があったのです。
この記事では、吉原で使われた独特な言葉遣いの理由やルーツ、その種類についてまとめてみました!
花魁たちが独特な話し方「吉原言葉」
吉原の花魁たち遊女が使った言葉は
里言葉
吉原言葉
廓言葉
と呼ばれ、先にも書いたように語尾に「ありんす」を付けることなどが有名です。
この言葉遣いが系統だって使われるようになったのは元禄時代ごろ(1700年ごろ)から。
全国のどこの方言にもみられないような言葉を、遊郭の店々で使うようになったのです。
なぜ吉原言葉は使われるようになったのか
ではなぜ、吉原遊郭でこれらの言葉が使われるようになったのでしょうか?
その理由として
「どんな田舎から出てきた遊女でも、あか抜けて魅力的であるようにみせるため」
というものが考えられます。
昭和四年に発行された「アリンス国辞彙」(宮武外骨)の付録「廓語考」に、こんな文章が。
いかなる遠国より来れる女にても、この詞をつかう時は鄙の訛りぬけて、元より居たる女と同じ事に聞ゆるなり
「吉原言葉」という独特な言葉を使うことで、どんなバックグランドのある女性でも同じように「遊女」を演じることが出来たのです。
吉原言葉のルーツは?
「全国のどの方言とも違う」と言われる吉原言葉。
ところが「甲子夜話」には、この言葉のルーツについて言及している箇所があります。
この言葉はもと駿河の方言なり、ご入国の後駿国の遊女をこの都にうつされしより、この言葉伝わるとぞ。
つまり、徳川家康が駿河から江戸へ来た時、連れて来られた遊女たちが話していた言葉が、吉原言葉のルーツであると主張しているのです。
しかしこれについては、真偽のほどは分かっていません。
吉原言葉の種類は?
さて、そんな「吉原言葉」には、「ありんす」以外に様々な言葉がありました。
代表的なものを少し紹介しておきましょう。
「なさいます」
例:来なんす、来なんした、来なんせん、来なんしょう、来なんせ、来なんし など
「ございます」
例:おざんす、おざんした、おざんせん、おざんしょう、おざりんす、おざりいす
「です」
例:そうざんす、そうざます
☆☆☆
「おそ松くん」のイヤミが使う「そうざんす、そうざます」も、実は吉原言葉だったんですね。
ちびまる子ちゃんの丸尾くんのお母さまも、これを使っていたような気がします。
時代とともに、吉原言葉は「奥様の使う上品な言葉」に変わっていったのでしょうか。