江戸時代は大きく、前期・中期・後期と分けられます。

そして、それぞれに政治や経済の状況、文化などに大きな特徴があります。

この記事は特に江戸時代前期の文化に焦点を置き、その特徴や代表的な文化人についてお伝えします。

江戸時代の区分

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このサイトでは、江戸時代を以下の3期に分類して考えています。

前期:初代家康~5代綱吉まで(1603~1709年)

中期:6代家宣~11代家斉まで(1709~1786年)

後期:12代家慶~15代慶喜まで(1786~1868年)1853年黒船来襲から1868年王政復古の大号令までを特に幕末期と考える

江戸時代前期 5代将軍徳川綱吉までの時代の特徴

その時代に流行った文化はその時代の世相を表しています。

ということで、まずは徳川家康から徳川綱吉に至るまでの時代の特徴から。

この時代の大きな特徴は「戦国の終焉」と「経済の安定」です。

これまで続いた戦乱の世が「関ヶ原の合戦」で終わり。

武家諸法度や禁中並公家諸法度、寺院諸法度で権力が統制されます。

農地改革も行われたり貿易も盛んにおこなわれたりと、民衆にとっては初めて訪れた、安定した経済の時代でした。

そして江戸時代前期の文化にも、この経済的繁栄は大きく影響を与えています。

江戸時代前期「元禄文化」の特徴

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この時代の文化は一般的に「元禄文化」と呼ばれています。

先に書いた通りの経済的繁栄を背景に、町人たちが主役の生き生きとした文化でした。

それまで文化というと、一部の文化人や僧侶などを中心としたものがほとんど。

厭世的なものも多かったのですが、「今生きているこの世を楽しむ」という思想も元禄文化の大きな特徴でした。

この時代がいかに民衆にとって喜ばしい時代だったかが、伝わってきます。

代表的な文化人・作品

「菱川師宣(ひしかわもろのぶ)」浮世絵版画の始祖

安房国(いまの千葉県)で縫箔刺繍の仕事をしていましたが、後に江戸へ出ました。

狩野派・土佐派の絵を学び、さし絵・屏風絵・肉筆絵巻など、いろいろな作品をのこしています。

とくに版画に力を注ぎ、浮世絵の発達に力を尽くしました。

おもな作品には「見返り美人」「吉原恋の道行」など。

同時代の人気作家・井原西鶴の「好色一代男」の絵本版のさし絵も描いています。

「尾形光琳(おがたこうりん)」新画風を確立した代表的画家

家業は京都の呉服屋で、後水尾天皇の女御の呉服所もつとめていたといいます。

はじめ狩野派に学びましたが、後に俵屋宗達の作品に出会い、強く影響を受けました。

代表作品は「燕子花図(かきつばたず)」「高白梅図」など。

弟は陶工として有名になった尾形乾山(けんざん)がいます。

「井原西鶴(いはらさいかく)」浮世草子を買いた人気作家

大坂の裕福な町人の子として生まれました。

初め俳人を目指しますが、40才を過ぎて浮世草子と呼ばれる小説の作家になります。

代表作は「好色一代男」「日本永代蔵」「世間胸算用」など。

するどい観察力で、当時の人々の様子をこっけいさを交えて描写しています。

「近松門左衛門(ちかまつもんざえもん)」浄瑠璃歌舞伎の作者

もともとは武士の子でしたが、父が浪人となったのをきっかけに演劇界へ入りました。

浄瑠璃や歌舞伎の脚本を描いています。

作品は大きくわけて二種類のものがあり、「世話物」と呼ばれる義理と人情の矛盾を描いた悲劇と、「時代物」と呼ばれるお家騒動や仇討ちを題材にしたものがありました。

世話物の代表作は「曽根崎心中」、時代物の代表作は「国性爺合戦(こくせいやかっせん)」です。

このように、町人たちが自由に芸術を楽しんだのが江戸時代前期の文化でした。

(他にも有名な俳人「松尾芭蕉」が挙げられますが、松尾芭蕉についてはこちらで詳しく説明しています↓)

「革命を起こした俳人・松尾芭蕉の生涯を、忍者説から辞世の句まで解説!」

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