大奥で働く女中を「奥女中(おくじょちゅう)」と言います。
いくつかの役職に分かれていましたが、なんとトップは年収1千万円を超える棒給を受け取るほどの好待遇。
政治力も持ち合わせたのだといいます。
そんな、男性をもしのぐ財力と権力を手にした「奥女中」の役職について解説します。
「奥女中」の役職一覧
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一言で「奥女中」と言っても、上から下まで厳しく役職に分かれていました。
その時代じだいによって存在した役職は異なりますが、ここでは13代将軍・徳川家定のころの奥女中の役職をご紹介します。
(上から順に)
上臈(じょうろう)御年寄 (御台所(将軍の正室)の側近。婚家から伴ってきた)
御年寄 (大奥を取り締まる事実上のトップ。20~30年の大奥キャリアを持つ)
御客応答 (諸大名からの使者を接待する)
中年寄 (御台所(将軍の正室)の食事係)
御中臈 (将軍と御台所の身の回りの世話)
御錠口 (中奥(将軍の居室)との取次)
表使 (大奥で働く男性役人との応接係)
御祐筆 (日記や書状を書く係)
御次 (献上品などの持ち運び役)
御切手書 (七ツ口(大奥と外をつなぐ出入口)の管理役)
呉服之間 (将軍と御台所の裁縫役)
御伽坊主 (中奥(将軍の居室)に出入りできる雑用係)
御広座敷 (下働き)
御三之間 (御年寄りなどのための雑用係)
御仲居 (煮炊き係)
御火之番 (火の用心を伝えまわる役)
御使番 (大奥で働く男性役人との取次役)
御半下 (水汲みや力仕事などの雑用)
以上、ざっと18もの役職がありました。
御年寄の年収は1千万レベル
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上記の役職で事実上の最高権力者は御年寄と呼ばれる役職です。
御年寄は旗本の出身で、大奥で20年以上のキャリアを持つものだけが就くことが出来ました。
その御年寄の年棒は、米50石。
そのほか衣装代として60両を与えられており・・
米を1石一両に換算して金額を計算すると、上記を合わせて110両。
1両を10万円に換算すると、年収1千万円を超えていくのです。
また、大奥を取り仕切る御年寄は強い発言力と政治力を持っていました。
(御年寄が認めないと、奥女中は将軍の寝所へ行くことを許されない(側室になれない)、など)
そのため、賄賂や心づけを合わせると相当な財力を持っていたはずです。
町民や農民の娘も活躍した大奥の役職
大奥の女中は、選ばれた武士の娘しかなれなかったイメージがあります。
しかし、中には町民や農民出身の娘もいました。
彼女たちが活躍した役職は最下層の「御半下」として。
御半下は水汲みをしたり重い荷物を運んだりといった雑用係ですが、男性役人がいない(いても、立ち入るスペースが限られていた)大奥では、力仕事が出来る女性が重宝されたのです。
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