現代ではネガティブなイメージの「妾」という立場。

ところが江戸時代ではそうでもなく、むしろ

武士の妾となり男子を生むことは、家族の人生を好転させるほどの大幸運

でもあったのです。

ここではそんな江戸時代の妾の立場について、江戸の川柳集「柳多留」の川柳を例に挙げて解説します!

「妾」について歌った「柳多留」の川柳

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妾の家族は羨望の的

現代では「愛人」の家族は日陰の存在であるイメージ。

ところが江戸時代では、たとえ正妻でなくても「男子を産んだ」女性が勝ち組。

そのことによって妾本人だけでなく、家族も丸ごと恩恵を受けることが出来たのです。

そんな「妾の家族の大幸運」について羨ましがる川柳が、柳多留にも見かけられます。

能妹(よいいもうと) もってちゃらくら 武士になり

(でたらめ生活をしていた兄貴が、よい妹を持ったおかげで武士になった)

妹の おかげで馬に おぶっさり

(妹のおかげで、馬の乗り方も分からないような男が武士になった)

どちらの歌も「にわか武士」になった妾の兄弟を嘲笑していますが、それはきっと羨ましいからですよね。

家族一丸願う「跡取り」を産むこと

妾は一族の人生を逆転する可能性をもった立場。

だからこそ、妾本人も、その家族も、願うことは

「跡取りを産むこと」

これさえできれば、妾になった甲斐があったというものです。

御めかけの 母は大きな 願をかけ

(娘が男の子を産んで、その家の跡取りになることを祈る母親)

公家の娘でも、女中でも、八百屋の娘でも「男子を産んだら勝ち」

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このように、とにかく男子を産むことが望まれた江戸時代では、妾の身分などは二の次。

自分が子供を産めるように

産んだ子が男子であるように

その子が元気に成長するように

お家の跡取りに選ばれるように

それだけを祈り、それさえ達成されれば女性としては大出世だったのです。