徳川家康の正室「築山御前」といえば、ものすごい悪妻だという評価が一般的です。
敵方と通じて謀反を画策したりと、夫の足を引っ張ったりします。
でも私は築山御前が、けっこう好き。
特に山岡荘八の漫画「徳川家康」中の築山御前は、どの登場人物よりも濃く印象を残します。
あの人物描写は、まるで「女の怨念の塊」。
怨念をまき散らして生きる姿は、ある意味「ヒロイン」みたいなものです。
築山御前の悪妻エピソード
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家康が手をつけた女中を裸にして木に縛り付ける
家康との仲がしっくり来ていなかった築山御前は、ある日自分の女中に家康の手が付いたと知り激怒します。
築山御前はその女中を裸にし気に縛り付け折檻したうえで、たまたま城に来ていた肥取り人達に
「この女を乱暴しろ」
と命令します。
肥取り人たちは築山御前のあまりの形相に恐れおののき、逆に縛り付けられていた女中に「乱暴したことにして許してくれ」と謝るほどでした。
(乱暴しなかったら、自分もどうなるか分からないから( ;∀;))
医師との密通・武田家との内通
家康との仲がどんどん深刻なものになっていき、満たされない気持ちを抱える築山御前。
そこに謎の医師・減敬が現れて、関係を持つようになります。
諸説ありますが山岡荘八の作中では、減敬は武田家と通じたスパイで、築山御前を転がして武田と内通させ家康を失脚させようと仕組んだのでした。
しかしそのたくらみは発覚。
その後、築山御前は家康によって暗殺されてしまいます。
築山御前は、普通の女が抑える激情を全て体現するヒロイン
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パートナーの浮気相手への怒りや、憎しみを露わにして暴れること。
パートナーに満たしてもらえないから、他に満たしてくれる人を探すこと。
新しくいい人が出来たら、無情に前のパートナーを裏切ろうとすること。
築山御前がしたのは、こんな風に「悪女」を通り越して「バカな女」がすることばかり。
これをしたら、もっと心が離れてしまう。
一人になってしまう。
普通ならそう考えてストッパーが効くのに、築山御前は暴走しちゃうんです。
この姿を見て、女の私は彼女のことを「バカな女」と見下したりします。
でもそれと同時に、私が抑圧したものも吸い取ってくれそうなほどの吸引力も感じる。
要は、すっきりするんです。
日ごろ上司に何も言えなくてストレスを抱えてる人が、ドラマの中で普通のサラリーマンが嫌味な上司をコテンパンにするシーンを見てすっきりする、みたいな。
多かれ少なかれ、女性なら誰にでも、パートナーとの間で賢く立ち回るために押し込めたものがある。
築山御前がそれを全部やってくれる。
私にとって、逆ヒロインみたいなものなのです。
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