日本では「言葉には霊力が宿っている」と信じられています。

この考えは言霊信仰と呼ばれ、特に「名前」には特別な力が宿っていると考えられてきました。

しかしそれは、一体どのような力なのでしょうか。

ここでは日本に古代から伝わる「言霊」にまつわる言い伝えについて、調べてみました。

言霊の神「一言主神(ひとことぬしの神)」

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日本では、

「発する言葉に力が宿っている」

という考え方「言霊信仰」が根強く存在します。

例えば「するめ」を「あたりめ」というのも、言霊信仰によるものかもしれません。

そんな言霊の力を司る神様の名前は「一言主神(ひとことぬしのかみ)」

一言主は神話にあまり登場しない神ですが、大変強い力を持っている神なのです。

たった一言で吉凶を決めてしまう、一言主の霊力

「言葉には力が宿っている」と書きましたが、一言主は言葉どころか発する一語一語に力を持つほどに強力な神でした。

古事記によると、一言主神は五世紀になって初めて天皇の前に姿を現します。

葛城山に登った雄略天皇は、自分と同じような格好をした人物に出会いました。

その人物こそが一言主神。

しかし一言主は天皇の問いかけにも、同じことを言い返すだけでなかなか応えません。

それは発する言葉の力が強すぎるため、安易に言葉を発することは危険だからです。

「名前」に宿る特別な霊力

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名乗り合うことは「魂」をさらけ出すこと

また言霊信仰では、個人の「名前」に他の言葉よりも大きな力が宿っていると考えています。

日本書紀に一言主が登場する場面でも、一言主は天皇が名前を尋ねても簡単には明かそうとはしません。

「あなたが先に名乗りなさい。」

と言葉を返すばかりです。

それは名前を名乗ることは、言霊信仰では自分の魂をさらけ出すことを意味するから。

「名乗りあう」ということは、「魂をさらけだしあう」ということに通ずるのです。

名前を構成するひと文字ひと文字に、宇宙のエネルギーが宿っている

また、縄文から伝わっていると言われる文書「ホツマツタエ」では、

日本語の一文字一文字に宇宙のエネルギーが込められている

と伝えられています。

だから、その文字を使って作られた日本語の言葉は、どれも「宇宙エネルギー」に満ちているのです。

しかしどの言葉よりも「人の名前」は特別。

それは、「名前」には与えられる時に特別な願いが込められるからです。

ひと文字ひと文字が持つ宇宙のエネルギーに加えて、それを与える人の願いが加わり、「名前」は特別な霊力を持つようになります。

☆☆☆

言霊の神「一言主」は現在、奈良県の葛城一言主神社の祭神として雄略天皇とともに祭られています。

「願い事を一言だけ叶えてくれる」という霊験があるそうです。

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