「雪女」は日本の各地に古くから伝わる伝承のひとつ。
物語には様々なパターンがありますが、その原型はどのようなものなのでしょうか?
恐ろしくも美しい「雪女伝説」の起源をたどってみました!
九州・四国にも広がる「雪女」伝説
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「雪女」で現代に一般的なのは
ある冬の日に出会った美しい女性と結婚し子供をもうけたが、実は彼女は雪女だった
というあらすじのもの。
これは小泉八雲によりまとめられた武蔵の国の伝承ですが、これ以外にも全国各地に伝承は存在しています。
その範囲は「雪」を連想する東北地方だけでなく、比較的暖かい四国・九州地方にも広がっているのです。
伝承の内容はさまざまで、
満月の夜に大勢の子供を引き連れて現れる
鏡をじゃらじゃらと引きずって現れる老婆
純潔の呪いをかけられた少女
といったものがあります。
雪女伝説が誕生したのはいつ?背景は?
雪女の伝説は、古くは室町時代以前から存在していたといいます。
伝説誕生の背景は、奈良時代から鎌倉時代ごろまでに起こった仏教や儒教的な倫理観の普及です。
それにより女性は
男性に従属するべき存在
穢れた存在
として扱われるように。
そしてその影響で、古代から神聖視されていた女神や巫女たちも、異形の存在として扱われるようになっていきました。
そうして描かれた女神や巫女の零落した姿の一つが「雪女」だと言われています。
各地の雪女伝説に共通すること
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先にも書いた通り、バリエーションに富んだ雪女伝説の内容。
一見なんの共通点も無いように見えますが、そこには一つの共通する点があります。
それはどの地域の雪女にも
死、邪淫
など、女神の負の側面が描かれているということです。
女神には「豊穣、誕生、純潔」などの正の側面がありますが、女性性が抑圧される中で作られた「雪女」の伝説では、女神の負の部分が強調されているのです。
純潔と邪淫が同居する「最も妖しい」雪女伝説
さて、上記の負の側面が最も強調された雪女伝説としては、民俗学者・藤沢衛彦によるものが挙げられます。
彼の著書「日本伝説研究」によれば、雪女は山姥によって「一生の純潔」の呪いをかけられた少女ということになっています。
ところがこの世に「紅い雪」が降るときだけその呪いは解け、代わりに邪淫に取りつかれた鬼女に変化するのです。
その時だけは、あらゆる動物に欲情し、妊娠と出産を繰り返します。
しかし「紅い雪」が止むと、産んだ子を残して雪女は融けてしまうのです。
☆☆☆
子供のころから「雪女」はとても恐ろしい妖怪のイメージでした。
でも雪女の誕生は、女性にとってはとても哀しい背景があったのですね。。
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