天狗と言えば妖怪のように恐ろし気なイメージですが、実はその昔「天狗の正体は雷神」と考えられていました。
そのうえ天狗には、京都の聖なる方角「神門」との深い関わりがあります。
天狗は神として、京都の守り神であった可能性があるのです。
京都の西北は光が集まる場所「神門」
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「鬼門」といって、東北の方角を「禍々しいものが入ってくる方角」と考える思想は現在でも広く知られています。
しかし一方で、平安時代には「神門(天門)」と呼ばれる「聖なるものが入ってくる方角」もあったのです。
それは具体的に言うと、京都の西北方向のこと。
陰陽道では京都の西北を「神門(天門)」と呼び「万物を生み出す光が集まる方角」と考えていました。
そしてその神門に座するのが「愛宕山の神護寺」。
これは陰陽師の安倍晴明にゆかりの深い寺です。
安倍晴明が、火災で焼失した「護身剣・破敵剣(天皇の身を護るという、百済からもたらされた剣)」を再鋳造した場所として語り継がれています。
「神門」の守り神である天狗
そしてその神門の方角を守っているのが「天狗」であると、私は考えています。
実際、愛宕山には日本で最強の天狗「太郎坊」という天狗を祭る社があります。
また、愛宕山から神門のラインをさらにすすんだ「仁和寺」には、天狗が杉の上に集まって酒宴をひらくという言い伝えも残されているのです。
さらに神門ラインの終点は東向観音寺。
この寺のすぐ横には、雷神を祭った「北野天満宮」があり、ここにも天狗の姿が見えるのです。
天狗の正体は雷神
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実はあまり知られていませんが「天狗の正体とは雷神」であるという説があります。
中国の「封神演義」に登場する雷神「雷震子(らいしんし)」は、日本の烏天狗とそっくりな姿で描かれています。
また、「日本書紀」には舒明天皇の時代、雷のような音が鳴り響いた時に高僧が「これは天狗(あまきつね)の鳴き声である」と言ったという言い伝えが残されています。
実際、天狗が恐ろしい妖怪の一種のように考えられるようになったのは中世以降(鎌倉時代以降)のこと。
「天狗道」という思想により「怨霊が天狗となり現世に戦をもたらす」と考えられるようになったのです。
つまり天狗は神の一種。
京都を守っているのは「天狗=雷神」なのです。
おまけ:京都の鬼門を守るのは「猿」
ちなみに、神門の反対である京都の鬼門を守っている動物は「猿」になります。
これは京都の鬼門を守っている比叡山延暦寺の言い伝えで、神の使いとして猿が登場するから。
実際に京都の鬼門ラインをたどってみると、「猿」と関わる寺や神社にたくさん出会うことが出来ます。
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